夜間撮影の基本夜桜の写真撮影は、夜の闇と、そこに浮かび上がるサクラのコントラストの比較が大きなポイントなります。
しかしサクラ自体が光っているわけではないので、ライトアップの照明や街灯に照らし出された光ををどのように拾うかが重要です。
しかしこのライトアップの照明や街灯が実はくせ者。
レンズを通した照明は、人間の目で見た色と違う場合があり、思っている色が出ないことがあります。
またライトアップの光は昼間の光と違い、一定方向からの強い光となります。
そのため、普通に撮影しているような撮影方法ではなかなか思い通りの写真になりません。
フラッシュの使い方イルミネーションの撮影などの場合、それ自体が光源であるため、
フラッシュを使うことによってその光を相殺しまうのでフラッシュの使用は厳禁でした。
しかしライトアップされたサクラはそれ自体が光っているわけではないこと、
ライトアップで光が当たっている部分が限られていることなど、
必ずしもフラッシュを使ってはいけないというわけではありません。

フラッシュを使用して撮影した写真
フラッシュの光が届く範囲だけ花そのものの色になり、光が届かないところはライトアップの光を拾う。
しかし、フラッシュをたくことにより、ホワイトバランス(後述)が変わってしまうため、ライトアップ部分は本来の色にならない。

フラッシュ未使用時の写真
光、色ともに見た目に近く、ライトアップで浮かび上がる夜桜の雰囲気が壊れていないが、ライトの届かない部分は影になってしまう。
フラッシュの使い方によっては、幻想的な写真を撮影することも可能です。
被写体の位置関係などをみながら、その場の状況に応じて使い分けてみましょう。
手ブレ注意フラッシュを使わない夜間の撮影では、弱い光を多く取り込むためにシャッタースピードを遅くし、
通常よりも長い時間シャッターをあけることになります。
その撮影中にカメラや被写体が動けば、当然ブレた写真になってしまいます。

通常の写真のように、カメラを手で持って撮影した写真
撮影中、どんなに動かしていないつもりでも、この程度の手ブレは起こりやすい。

カメラを三脚で固定して撮影した写真
ブレることなく撮影される。

風によって被写体である花が動いてしまった写真
外での撮影は自然現象との根気比べ。
空気の動きなどに注意してシャッターを押すタイミングをはかりましょう。
ブレないようにするためには、シャッターがあいている間、カメラが動かないようにすることが重要です。
三脚を使用することがもっとも効果的な方法。
いつも三脚を持ち歩いているという人はそうそういないと思います。
そこで、周囲にある動かないテーブルや地面といった、平らで安定したところにカメラを置いて、
セルフタイマーを使って、シャッターがおりる瞬間から撮影が終わるまでの間、カメラに触れないようにすると、
まったくブレのない写真を撮影することができます。
浮かび上がる夜桜を撮影ライトアップされたサクラは、ある一定方向からの強い光の撮影になるため、光の当たっている部分が飛んでしまったり、
逆に光の当たらない部分が真っ暗になったりと、全体のバランスや色合いが表現しにくいことがあります。
夜景モードを利用しよう通常のデジタルカメラには、すべてを自動で制御して撮影するオートモードのほかに、
あらかじめその状況に合わせて適正な撮影ができるように設定された、オリジナルモードが搭載されていることがあります。
夜景モードや逆光モード、風景モードなど、さまざまなオリジナルモードがありますが、
それぞれによって撮影された雰囲気が変わります。
お手持ちのデジタルカメラにどのようなモードが搭載されているか、マニュアルを読んでみましょう。

通常のオートモードで撮影した写真
これ自体でもそれほど悪い写真ではないが、ライトアップの光をそのまま拾うため、
光の当たっている部分とそうでない部分のコントラストが大きい。

夜景モードを使って撮影した写真
あらかじめ夜間撮影する際に必要な設定になっているため、光を拾いやすく、
直接光が当たっていない場所の弱い光も拾うため、オートモードよりもコントラストが弱く自然なイメージとなる。
シャッタースピードが遅くなるので、カメラの固定を忘れずに。

花火モードを使って撮影した写真
漆黒の闇に打ち上げられる花火を撮影するモードのため、夜景モードよりもさらに光を拾ってくれる。
しかし、ホワイトバランスが晴天モードなどに固定されるため、色自体が変わってしまう。
このほかにも逆光モードや、ソフトフォーカスを使って光をやわらかく撮影する
ローソクモードなどを搭載しているデジタルカメラもあります。
被写体の周囲の状況と、好みの仕上がりによって使い分けてみましょう。
露出補正デジタルカメラに搭載されているオリジナルモードでの撮影は、何も設定しなくてもよいため便利ですが、
ライトアップの照明の強さや周囲の街灯の光、あるいは闇夜なのか月の光があるのかによって、
その仕上がりが微妙に変わってきます。そこで、露出補正を使用し、写真を調整します。
露出とは、デジタルカメラのセンサーに当たる光の量のことを指します。
この光の量を調整することで、写真の明暗を調整することができます。
最初のうちは適正な露出量はわかりにくいと思いますので、
いろいろな設定で撮影し、お好みの明るさを探してください。

露出を補正せずに撮った写真
これをベースに、他の写真と比べてみましょう。

-1.0の露出補正を行った写真
全体に暗くなるが、サクラのピンクが濃くなるため、花の色はわかりやすくなる。

-2.0の露出補正を行った写真
直接光が当たっている部分以外はほとんど見えなくなってしまう。
露出補正をマイナスにすると、撮影時間は短くなる。

+1.0の露出補正を行った写真
全体的に明るくなるが、サクラの色が飛び気味になってしまう。

+2.0の露出補正を行った写真
まさに光があふれているという感じ。
その分、サクラそのものの色はほとんど見えなくなってしまう。
露出補正をプラスにすると、より多くの光を撮影しようとするため、撮影時間は長くなる。
露出補正はいくつに設定したからここまでになるというものではなく、周囲の色、光の強弱、
反射による間接光などによって結果が変わるので、まずは補正せずに撮影し、
プレビューで結果を確認しながら調整してみてください。
鮮やかな桜色を撮影
ホワイトバランスを設定する
デジタルカメラならではの機能にホワイトバランスがあります。
ホワイトバランスとは、撮影される光の色を補正する機能で、昼間の撮影であれば、
オートにして撮影するだけで適正な光に調整してくれるので便利です。
しかしライトアップされた夜桜を撮影する場合、オートで撮影すると白っぽい光になってしまったり、
青い光になり、きれいなサクラ色にならなかったり、見た目とはかけ離れた写真になってしまうことがあります。
その場合、ホワイトバランスを自分で調整しなければ、いい夜桜写真は撮影できません。

オートで撮影した写真
光の当たっている部分が白くなってしまう。

蛍光灯モードで撮影した写真
ライトアップの照明の色によるが、オートより淡いピンク色が写ってしまう。

曇天モードで撮影した写真
自然光を前提にし、より日光の光を拾うモードのため、
体に黄色くなり、見た目とはまったく違う写真になってしまう。

晴天モードで撮影した写真
曇天モードに近いが、晴天の明るさがあることを想定しているため、
暗い部分が曇天モードよりも暗く撮影され、その分、サクラの色が写ってしまう。
ホワイトバランスも露出補正同様、同じ設定だから同じように写るというものではないので、
周囲の状況に応じた設定をしながら撮影してみてください。
スローシンクロで人物もバッチリライトアップされた夜桜を撮影しようとすると、その前にあるものや人は逆光になってしまいます。
そこで、手前にあるものや人をくっきり写しながら、夜桜を写すためには、スローシンクロ機能を用い、
手前をフラッシュで光らせ、奥にあるものはそのまま夜景モードで撮影するというテクニックが必要となります。
フラッシュには、暗いときに自動的に光る自動発光、どのような状況でも強制的に光らせる強制発光、
逆に光らせない発光不可モードの他に、スローシンクロという機能があります。
このスローシンクロは、撮影自体は夜景モードで撮影し、手前にあるものだけにフラッシュを当てる機能です。

夜景モードでの撮影
光の当たっていない手前の像は真っ暗になってしまう。

手前の像を写すためにフラッシュを使用した写真
像はきちんと写っているが、背景の夜桜はシャッタースピードが速いためにほとんど写らない。

スローシンクロを使用した写真
手前のものにフラッシュを当てて撮影しながら、夜桜は夜景モードで撮影しているため、
その雰囲気を壊さない写真になっている。
スローシンクロで撮影する場合、撮影自体は夜景モードで行われるため、シャッタースピードは遅くなり、
フラッシュが光った後も撮影が続けられています。上の写真の像のように動かないものであれば問題ありませんが、
手前がものではなく、人の場合、フラッシュがたかれた後、被写体となった人が動いてしまうとブレた写真になってしまうので、
撮影が終わるまで動かないように伝えておきましょう。
人物の撮影の場合、フラッシュによる赤目が生じやすいので、赤目補正を行っておきましょう。
日中の桜撮影
被写体の位置
美しいサクラを被写体として撮影する場合、どうしてもそのサクラ自体を中央に置いた写真を撮影したくなります。
しかし、サクラを中央にもってくると、どうも平凡な写真になりがちです。
そこで、ほんの少しカメラの向きを変えるだけでまったく違ったイメージの写真になります。

サクラを中央に置いた写真
サクラはきれいに撮れているが、写真の構図としておもしろみがなく平凡。

カメラをほんの少し右に向けた写真

川近くの桜を撮った時
川面の面積とのバランスが大事になるが、対角線という動きができるため、写真としての見栄えが変わってくる。
写真撮影はほんの少しのインスピレーションが大事です。
きれいだからといって何も考えずに撮らず、ほんの少しフレームに対する被写体の向きなどを
考えるだけで、まったく違う写真になります。